<ドストエフスキー作品の登場人物一覧表>カラマーゾフ・二重人格

 



『 カラマーゾフの兄弟 』1979~80年(58~59歳)  原卓也 訳

<作品紹介>
ドストエフスキー最後の長編で、『罪と罰』と並んで代表作とされる場合が多い。カラマーゾフ家の父フョードルとその息子達(ドミートリィ、イワン、アリョーシャ、スメルジャコフ)、彼らをめぐる女性達との愛憎と葛藤が描かれている。父親殺しという事件を中心に、推理小説的な緊張感を伴って展開するこの作品は、農奴解放後のロシア社会を描いた社会小説とも言われている。有名な劇中詩「大審問官」は、個人と社会とは、人間の自由とは、という問いかけでもあり、宗教性を超えた人類普遍のテーマを扱っている。カラマーゾフ家の物語のほか、個性豊かな人物たちのエピソードもあり、深い思想性を湛えながらも娯楽小説として楽しめる作品となっている。

●登場人物

フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ
カラマーゾフ家のあるじで、兄弟の父親.金儲けが巧く好色な地主

ドミートリィ [ミーチャ] (ドミートリィ・フョードロウィチ・カラマーゾフ):
長男.28歳.退役軍人.激情的で正直な性格.財産相続と女性問題(グルーシェンカ)で父親と争っている

イワン [ワーニャ] (イワン・フョードロウィチ・カラマーゾフ):
次男.24歳.知能優秀で無神論的思想の持ち主.創作詩「大審問官」をアリョーシャに聞かせる

アリョーシャ [アリョーシカ] (アレクセイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ):
三男.20歳.敬虔な見習い修道僧.誰からも愛される心やさしい青年

スメルジャコフ (スメルジャコフ・パーヴェル・フョードロウィチ):24歳.フョードルの私生児と噂されている.カラマーゾフ家の召使で料理人

・アデライーダ・イワーノヴナ・ミウーソワ :ドミートリィの母.彼が3歳の時家出、しばらくして亡くなる
・ソフィヤ・イワーノヴナ :イワンとアリョーシャの母.アリョーシャが4歳の時亡くなる

グルーシェンカ (アグラフェーナ・アレクサンドロブナ・スヴェトロワ)22歳.フョードル(父)とドミートリィ(長男)双方に思いを寄せられる情熱的な女性. かつてサムソーノフに囲われていた

カチェリーナ・イワーノヴナ[カーチャ] ドミートリィの表向きの婚約者.?歳.イワンを愛する誇り高い女性

・グリゴーリイ・ワシーリエウィチ: カラマーゾフ家の従僕
・マルファ・イグナーチエヴナ  : その妻
・リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ: スメルジャコフの母と噂された神がかりの乞食女
・マリヤ・コンドラーチエヴナ: スメルジャコフの女友達.カラマーゾフ家の隣家の娘

リーザ・ホフラコワ[リーズ]: アリョーシャの幼友達.14歳.小児麻痺で足が不自由
ホフラコワ夫人: リーズの母.35歳前後.女地主で未亡人

ゾシマ長老(ジノヴィイ): アリョーシャが修行する僧院の長老.65歳
マルケール : ゾシマ長老の兄.17歳で亡くなった
・ラキーチン[ラキートカ](ミハイル・オーシポウィチ・ラキーチン):出世主義の元神学生
・イォシフ神父   : 図書係
・フェラポント神父 : 75歳くらい.神がかりの行者.長老制に批判的
・パイーシー神父  : 司祭修道士で病身の学者.ゾシマの死後、僧院の面倒を見る
ポルフィーリィ  : 見習い僧
・オブドールスクから来た修道僧 : ゾシマ長老の腐臭を騒ぎ立てる

ミウーソフ(ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ) 50歳.ミーチャの母の従兄.ミーチャの幼少時に後見人になっていた
・カルガーノフ(ピョートル・フォミーチ・カルガーノフ) 20歳位.ミウーソフの遠縁にあたる.アリョーシャの友人
・マクシーモフ 60歳くらいの地主."フォン・ゾーン"というあだ名

スネギリョフ 45~6歳.貧しい退役二等大尉.イリューシャの父
イリューシャ [イリューシェチカ] 10歳くらい.大変な父親思い.飼い犬のジューチカにピンを飲ませたことで苦しんでいる
・アリーナ・ペトローヴナ 43~4歳.イリュ-シャの母で少し気がふれている
・ニーノチカ(ニーナ・ニコラーエヴナ) 20歳くらい.イリューシャの姉.足が麻痺している天使のような女性
・ワルワーラ・ニコラーエヴナ ?歳.イリューシャの姉

コーリャ(ニコライ・イワノフ・クラソートキン) 13歳.町の少年達のリーダー
・クラソートキナ夫人: コーリャの母
・スムーロフ: 11歳くらいの少年.コーリャの下級生
・カルタショフ少年
・少年達 
・ジューチカ: イリューシャが飼っていた犬.一度いなくなったが、コーリャがペレズヴォンと名付けて飼っていた

・エフィム・ペトローウィチ・ポレノフ :イワンとアリョーシャを幼少時に養育した人
・クジマ・サムソーノフ :グルーシェンカのパトロンだった老商人
・ヘルツェンシトゥーベ先生:70歳位の医者.町の人に尊敬されている.ミーチャが幼い時、くるみを与えた
・ペルホーチン(ピョートル・イリイチ・ペルホーチン):若い官吏.ミーチャがピストルを担保にお金を借りた.
・ムッシャローウィチ: 40歳近い小柄なポーランド人で、退役12等官.グルーシェンカの初恋の相手
・ヴルブレフスキー: ポ-ランド人で、ムッシャローヴィチの付添い人.長身の歯医者

・ミハイル・マカーロウィチ: 郡の警察署長.長身で太っている
・イッポリート・キリーロウィチ: 検事.才能が正当に評価されぬと不満を持っている.裁判ではミーチャ有罪の論告を行う
・ニコライ・パルフューヌイチ・ネリュードフ: 新任の若い予審調査官
・フェチュコーウィチ:40歳くらい.有名ならつ腕弁護士で、ミーチャを弁護する

・ゴルストキン(レガーヴィ.あだ名=セッター):ドミートリィが借金の交渉に行く森の売買人
・フェーニャ :グルーシェンカの家の召使
・トリフォン・ボリースイチ : 百姓で、モークロエ村の宿屋の主人
アンドレイ : 若い御者.ドミートリーをモークロエ村へ連れて行く
・この作品の語り手
他の人々

* 作品の詳しい説明と紹介は、Seigoさんのサイト「ドストエフ好きー」の『カラマーゾフの兄弟』についてや、雪こぐまさんのサイトの『カラマーゾフの兄弟』のページが参考になります。

CD「大審問官」from雪こぐまさん




『 二重人格 』 (『分身』) 1846年(25歳) (岩波文庫.小沼文彦訳)

<あらすじ>
しがない下級官吏のゴリャートキンが、周囲の人間に認められたくて悪戦苦闘する内に、幻覚で分身が現われる。分身はゴリャートキンの理想像として活躍し始め、苦しむゴリャートキンは次第に追いつめられていく・・・。

●登場人物

ヤーコフ・ペトローヴィッチ・ゴリャートキン : 作品の主人公.ペテルブルクに住む役人(九等文官で係長補佐).小心で引っ込み思案

ペトルーシカ :ゴリャートキンの下男.当初ゴリャートキンに忠実に仕えていたが、次第に反抗的になり家を出て行ってしまう
・クレスチヤン・イワーノヴィッチ : ゴリャートキンのかかりつけの内科外科専門医.

【役所の人々や同僚たち】
アンドレイ・フィリッポヴィッチ : 役所の係長で六等文官.ゴリャートキンの上司.
・オルスーフィイ・イワーノヴィッチ : ゴリャートキンの恩人で五等文官.娘の誕生祝の会を催す
・アントン・アントーノヴィッチ・セ-トチキン :クラーラの名付け親.ゴリャートキンの上司.
・ネストル・イグナーチイェヴィチ・ヴァフラメーイェワ : 役所の若い事務官
・オスターフィイェフ : 書記官.ゴリャートキンが自分の噂について聞き出そうとする
・イワン・セミョーヌイッチ : ゴリャートキンの席の後釜に座った役人
・ピサレンコ : 書記
・閣下 : ゴリャートキンが最後に会いに行く、役所の長官(?)

・ウラジーミル・セミョーノヴィッチ : アンドレイの甥で26歳.クラーラの婚約者.
・クラーラ・オルスーフィイェヴナ:イワーノヴィッチ家の一人娘.ゴリャートキンが片想いしている?
・ゲラーシムイッチ : イワーノヴィッチ家の老僕.ゴリャートキンを追い返す 
・カロリーナ・イワーノヴナ : ドイツ人の女.ゴリャートキンが以前下宿していた料理店のおかみ(間接的に話に出る)

・ゴリャートキンの<分身> 


『白痴』・『悪霊』へ
『未成年』・『罪と罰』へ
『永遠の夫』・『死の家の記録』へ
HOMEへ