<ドストエフスキー作品の登場人物一覧表>永遠の夫・死の家の記録

 



『 永遠の夫 』千種堅 訳)1870年(49歳)

<あらすじ>
ヴェリチャーニノフという高等遊民の男が、9年前に交際していた女性の夫トルソーツキイに似た人物に街中で出会う所から物語は始まる。忘れかけていた記憶が徐々に甦り、二人は再会を喜び合うかに見えたが、トルソーツキイには娘がいることがわかり、ヴェリチャーニノフの子どもであるらしいとほのめかされるのだった…。中篇小説。

●登場人物

ヴェリチャーニノフ(アレクセイ・ヴェリチャーニノフ) : 38歳の貴族.男前で女遊びの経験が多い.ナターリヤと恋仲になるが、後で“はき古したぼろ靴”のように縁を切られる.

トルソーツキイ(パーヴェル・パーヴロヴィチ・トルソーツキイ):44歳?の役人.ナターリヤの夫.妻に愛人がいるのに気付かなかったり、知っていても何も出来ない“永遠の夫”.

・(故)ナターリヤ・ヴァシーリエヴナ :トルソーツキイの妻.37歳で死亡.ヴェリチャーニノフと恋仲だったが、その後バガウートフと付き合う.
・ リーザ :8歳位の女の子.トルソーツキイが育てていた.ヴェリチャーニノフの実子らしい.
・ バガウートフ(スチェパン・ミハイロヴィチ・パガウートフ):ナターリヤの恋人だった青年.
・ ポゴレーリツェフ :55歳.ヴェリチャーニノフの知人
・ クラヴジヤ・ペトローヴナ :37歳.ポゴレーリツェフの妻.ヴェリチャーニノフの旧友でリーザを一時預かる.

・ フェドセイ・ペトローヴィチ・ザフレビーニン :5等官.ヴェリチャーニノフの訴訟の相手側で働いている.8人の娘と一人の息子がいる.
・ ザフレビーニン夫人
・ ナジェージダ・フェドセーエヴナ[ナージャ] :15歳.トルソーツキイが妻の死後、熱をあげ結婚を考えている少女.ザフレビーニン家の6番目の娘.
・ カチェリーナ・フェドセーエヴナ[カーチャ] :24歳.ナージャの姉.
・ アレクサンドル・ロボフ :19歳.ナージャの恋人.
・ マリヤ・ニキーチシナ :23歳.ナージャの友人で皮肉屋の才女.
・ オリンピアーダ・セミョーノヴナ [リーポチカ] :トルソーツキイの新しい妻. 
・ ミーチンカ :オリンピアーダの恋人?






『 死の家の記録 』(工藤精一郎訳)1860~62年(39~41歳)

<作品説明>
ドストエフスキーは1849年(28歳)に思想犯として逮捕され、死刑を宣告されながら刑の直前に恩赦で死刑を免れた。その後シベリア流刑に処せられたが、その4年間にわたる獄中体験と見聞の記録が作品の原型となっている。地獄のようなシベリアでの生活、囚人達の日常生活や心理を、ドスト氏流の深く鋭い観察眼と正確な描写によって再現している中篇小説。

●主な人物

・わたし(アレクサンドル・ペトローヴィチ・ゴリャンチコフ)
 35、6歳.この記録を書いた人物.妻を殺害して10年の刑期の後、シベリアに移住し家庭教師をしている人嫌いの男.(死後、記録を記した手帳が見つかる)

・アレイ : タタール人.誰からも好かれ、獄中でも心がすさまない。「わたし」にとって最良の出会いの一つだったとされる人物.

ペトロフ : 40歳前後.強い性格の一人.私と話したがるが普段は知らん顔をしている.突然怒りを爆発させることもあり、恐れられている.

・イサイ・フォーミチ : 50歳前後.ユダヤ人.滑稽でひょうきん.祈祷の姿が印象的.宝石加工の仕事をする.

・アキム・アキームイチ : 貴族で器用に様々なものを作る.品行方正で規則を守ることが好き.

・ヴォローノフ : 60歳位.旧教徒.子どものように素直に笑う.信仰が厚いが心の底には深い悲しみを持つ.囚人達から信頼され、皆のお金を預かっている.

●個性強き獄中の人たち

・スシーロフ : 他の囚人の身代わりになって重刑になった.「わたし」の用足し係で世話を焼いてくれる.
・シロートキン : 23歳.美貌の青年.新兵の時隊長を殺して特別監房へ.
・ルーチカ : 若いウクライナ人.尊敬されていないが自尊心が強い.
・バクルーシン : 30歳前後.元屯田兵.気持ちのよい気性の男.クリスマスの芝居で活躍.
・ガージン : 酒飲みで醜かいな大男.残忍.
・オルロフ : 気力の強い男.
・クリコフ : 囚人Aと逃亡する.
・ミハイロフ: 肺病で病死する.
・アントーノフ : ペトロフと口論する.
・ロマン  : 馬の引き手.
・チェクーノフ
ポーランド人4名
 T ? 
 M 強い自制力を持つ.「わたし」は尊敬していたが愛せなかった
 B 怒りっぽく善良でやや独善的.「わたし」は愛していたが後に別れる
 J 年中祈っていた老人
・クリフツォーフ少佐 : 監獄の指揮官.威圧的で冷酷な人物
・G中佐 : 父親のように囚人を愛し、囚人からも好かれた
・A : 貴族でスパイ.卑劣なため「わたし」が最も嫌悪していた
・オシップ   : 料理人
・スクラートフ : ひょうきんな若者
・ナスターシャ : 「わたし」に聖書をくれた未亡人
・病院の囚人たち、狂人たち
・犬3匹(シャーリック、ベールカ、クリチャプカ)



『白痴』・『悪霊』
『未成年』・『罪と罰』
『カラマーゾフの兄弟』・『二重人格』

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