白痴・悪霊

[ ドストエフスキー作品の登場人物一覧表 ]


ドストエフスキーの小説はかなり登場人物が多い上に、名前が長くてややこしいです。一人の人物への呼び方も様々なので途中で訳がわからなくなってしまい、読者泣かせです。そこでこれから作品を読もうかな~と思っている方の一助にでもなればと、人物一覧表を作ってみました。

・登場人物の【通称・愛称、正式名、性別、年齢、職業身分、主人公との関係その他】などです。
・テキスト(私が読んだ本)は『二重人格』以外は新潮文庫です。出版社や訳者によって、名前の読み方は少々違っていますのでご注意下さい。(例:新潮文庫『白痴』の ムイシュキン → 他の本では ムィシキン)
・中村健之介『ドストエフスキー人物事典』や、Seigoさんのサイト「ドストエフ好きーのページ」を参考にさせていただきました。
・わからない箇所や間違いなどは気付いた時に追加・修正しております。
・紹介文や主・脇役の区別は私の主観が入っています。なにとぞご了承下さい(^^;全体に見にくくてすみません。)



・『白痴』・『悪霊』(このページ)
『未成年』・『罪と罰』
『永遠の夫』・『死の家の記録』
『カラマーゾフの兄弟』・『二重人格』
『虐げられた人々』・『賭博者』・『貧しき人々』




『白 痴』木村浩 訳) 1868年(47歳)

<あらすじ>
作者が「無条件に美しい人」として描いたムイシュキン公爵をめぐり、エゴイズムと粗暴さの露わな青年ロゴージン、憎悪と汚辱の中にあっても誇り高いナスターシャ、明るい将軍家令嬢アグラーヤ達との恋愛模様が描かれている長編。純心で無垢な魂を持つ公爵はだれからも愛されるが、周囲の人々との間に次々と事件が持ち上がる・・・。

●主な人物

ムイシュキン(レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキン)
26、7歳.公爵.ドストエフスキーが「完全に美しい人」として描こうとした人物.スイスで療養していたが、ペテルブルグへ帰って来てエパンチン家へ身を寄せる.

ナスターシャ(ナスターシャ・フィリッポヴナ・バラシコーワ
 25歳.誇り高い美貌の女性.少女期よりトーツキイの愛人にさせられたため憎悪の塊となっているが、強い自責感にも苦しむ.ムイシュキンと出会い心を開く. 

ロゴージンセミョン・パルフョノヴィチ・ロゴージン)
 27歳.野性的な商人の息子.ナスターシャへの情欲に身を焦がしムイシュキンに嫉妬するが、ムイシュキンとは兄弟のような仲にもなる.

アグラーヤ(アグラーヤ・イワーノヴナ・エパンチナ)
  20歳.明るく美しいエパンチン家の三女.ムイシュキンを愛し、ナスターシャとの三角関係になる.ナスターシャとの美女対決シーンが見もの?

●個性豊かな脇役たち

・ エパンチン将軍(イワン・フョードロヴィチ・エパンチン)  56歳.実業家.アグラーヤ姉妹の父.
・ リザヴェータ夫人(リザヴェータ・プロコフィエヴナ)  56歳.アグラーヤ姉妹の母.娘アグラーヤの恋のゆくえに気をもむ.ムイシュキンの遠縁の人.
・ アレクサンドラ  25歳。エパンチン家の長女
・ アデライーダ   23歳。エパンチン家の二女

・ イヴォルギン将軍 (アルダリオン・イヴォルギン) ?歳。ほら吹きでアル中気味。
・ イヴォルギン夫人 (ニーナ・アレクサンドロヴナ・イヴォルギナ)  50歳.下宿屋を営む.
・ ガーニャ (ガブリーラ・アルダリオノヴィチ・イヴォルギン)  27歳.イヴォルギン将軍の長男.エパンチン家の秘書.ナスターシャとの結婚を考えている.
・ ワルワーラ (ワルワーラ・アルダリオノヴィチ) 23歳。ガーニャの妹。
・ コーリャ 13歳.ガーニャの弟.

・ レーベジェフ  40がらみの噂好きな小役人.妻を亡くし二人の子を育てる.黙示録を15年講読している.
・ ヴェーラ レーベジェフの娘.(赤ん坊の妹もいる)

・ イポリート (イポリート・テレンチェフ) 18歳の青年.肺の病に冒されて死期が近い.その心境を綴った論文「わが必要欠くべからざる弁明」を皆の前で発表する.
・ マルファ・テレンチェワ ?歳。イポリートの母。イヴォルギン将軍の情婦.
・ トーツキイ (アファナーシィ・イワーノヴィチ・トーツキイ) 男.55歳.地主貴族でナスターシャの囲い主だった.
・ ラドムスキー公爵 (エヴゲーニィ・パーヴロヴィチ・ラドムスキー) 28歳。エパンチン将軍の知人(?).冷静な傍観者。
・ Ш(シチャー)公爵 男。35歳。
・ プチーツィン 30歳。高利貸し。ワルワーラと婚約している。
・ フェルディシチェンコ 若い官吏?.陽気者で酒飲み.ナスターシャの取り巻き.夜会でプチジョー(遊び)を提案する.
・ マリイ 20歳位。ムイシュキンがスイスに滞在中知り合った薄幸の娘。
・ 故ニコライ・アンドレエヴィチ・パブリーシチェフ 男。ムイシュキンの養育者で恩人。
・ ドクトレンコ (ウラジミール・ドクトレンコ)レーベジェフの甥で現代ロシア青年。
・ ブルドフスキー (アンチープ・ブルドフスキー) 22歳位の現代ロシア青年.パブリーシチェフの息子と思われていたが、違っていた.
・ ケルレル 30歳位.退役中尉で拳闘を教える.ロゴージン一派に属していた.






『悪 霊』江川卓 訳) 1871~72年(50~51歳)

<あらすじ>
組織の結束を図るため転向者を殺害した”ネチャーエフ事件”(1869年)を素材にしている。人々を背後で動かし見えない影響を与える超人的人物スタヴローギンと、彼を取り巻く秘密革命集団の青年達(キリーロフ、シャートフ、ピョートルら)や、ワルワーラ夫人とその同居人ステパンなどの個性と活躍で彩られている。有名な「スタヴローギンの告白」の章は作者が『悪霊』の中心に据えていたが、内容の反社会性ゆえに当時の雑誌への掲載を拒否され、1922年に初めて発表された。(新潮文庫では作品の最後に掲載。)ドスト作品の中でも最も複雑で謎めいた物語とされている長編。

●主な人物

スタヴローギン(ニコライ・フセヴォロドヴィチ・スタヴローギン)
  25歳.知力体力ともに並外れた美貌の貴公子.母の住む故郷へ4年ぶりに戻って来た.

ステパン先生(ステパン・トロフィーモヴィチ・ヴェルホーヴェンスキー)
  53歳.元大学教授.西欧派の理想主義者.ワルワーラ夫人宅に寄宿し庇護を受けている.ピョートルの父で、スタヴローギンの少年期の教育係.(モスクワ大学教授グラノフスキーがモデルとされている)

ワルワーラ夫人(ワルワーラ・ペトローヴナ・スタヴローギナ)
  50歳.地主.スタヴローギンの母.町の社交界で権勢を回復しようと考えている.またステパンと養女ダーシャを結婚させようともくろむ.

キリーロフ(アレクセイ・ニーロヴィチ・キリーロフ)
  26,7歳.建築技師.特異な自殺哲学を持つ.人神論者.

シャートフ〔シャートゥシカ](イワン・パーヴロヴィチ・シャートフ)
  27,8歳.スタブローギン家の農奴の息子.民族主義者.(ネチャーエフ事件で殺害されたイワーノフがモデルとされている)

リーザ(リザヴェータ・ニコラエヴナ)
  20歳.貴族の令嬢.スタヴローギンと愛し合う。

ピョートルペトルーシャ](ピョートル・ステパーノヴィチ・ヴェルホーヴェンスキー)
  27歳.社会革命活動の策士.ステパンの息子.様々な事件が終わった後、行方をくらます.(ネチャーエフがモデルとされている)

●強力な脇役たち

・ ダーリヤ〔ダーシャ]20歳.シャートフの妹.ワルワーラ夫人の養女.一時はスタヴローギンの看護婦役を申し出る.
・ マリー(マリヤ・シャートヴァ)?歳.シャートフの妻.スタヴローギンの子を産む.
・ マリヤ・レビャートキナ 30歳.スタヴローギンと秘密の結婚をする.足が不自由でやや神がかった面もある.
・ レビャートキン大尉 40歳.マリヤの兄.
・ フェージカ 男.脱獄囚.スタヴローギンにそそのかされ、レビャートキン兄妹を殺害.
・ マヴリーキー 32,3歳.リーザの婚約者.
・ カルマジーノフ 55,6歳.大文豪.ツルゲーネフがモデルとされる.

(革命活動の仲間達―いわゆる5人組…6人いる?)
・ プーチン 男.中年.県の役人.無神論者.フーリエ主義者.
・ ヴィルギンスキー 男.30歳.役人.妻は産婆.
・ ガリョフ 男.?歳.専制社会主義者.シャートフ殺しから抜ける.
・ リャムシン 男.?歳.ユダヤ人.
・ エルケリ 男.18歳.ピョートルに心酔.
・ トルカチェンコ 男.?歳.

・ チホン僧正 スタヴローギンの告白を聞く町の修道院の僧侶.55~6才.病身でやせている。
・ マトリョーシャ 12歳.スタヴローギンの下宿先の少女.
・ ソフィヤ 34歳.聖書売りの女で、ステパンと出会う.
・ レンプケアンドレイ・フォン・レンプケ) 40歳.県知事.
・ レンプケ夫人(ユリヤ・ミハイロヴナ・レンプケ) 45歳.
・ ガガーノフ(アルテーミィ・ガガーノフ) 男.33歳.地主.
・ (アントンとも呼ばれる) 作中では「私」となっている語り手. 

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